『知らないと恥をかく世界の大問題』 池上彰 角川SSC新書 ¥798
『ぼくらの頭脳の鍛え方 必読の教養書400冊』 立花隆 佐藤優 文春新書 ¥987
本年は「国民読書年」です。
<文字・活字文化によって人類は英知を後世に伝えてきました。しかし、近年わが国でも年齢層を問わず読書への興味が薄れ、言語力,読解力の衰退が顕著となってきました。読書の価値を見直し、2010年を「国民読書年」と定めます。>と2008年6月6日の衆参両院本会議で全会一致で採択されました。
実は、10年前、2000年は「子ども読書年」でした。この年は全国の学校が真剣に取り組み、大きな成果を挙げました。1999年12月に『ハリー・ポッターと賢者の石』が発刊されたことも追い風となり多くの子どもたちは本を読む楽しさや1冊を読み切る充実感を味わってくれました。「朝の読書」も盛んに実施され、全国に普及していきました。今では20000校以上で行われています。PTAも協力し読み聞かせをしてくれるようになりました。
ところが、家庭や職場では読書をする姿が見えません。子どもだけに本を読ませるのではなく、「国民一人ひとりが、地域で、家庭で、学校で、職場で「私の国民読書年」として行動する」ことが「国民読書年」の趣旨です。読書により、知識やことばを身につけます。ことばにより自分の考えを整理することができます。そして、ことばにより自分を束縛するものから自分を解放してやることができるようになります。他人の考えや意見をことばとして理解できれば、他人を思いやることができるようになります。
やはり家庭で親が読書する姿を見せ、小さい頃から本に親しませることが一番大切だと思います。私と家内は、子どもが小学生だったある日、テレビを消して食卓で本を読むことにしました。それまで本を読まなかった長男が「何をよんでるの。」と興味を示し、しばらく続けると「じゃ僕もマイケル・ジョーダンの本を読もう」と当時好きだったバスケットボール選手の本を読み始めました。これを機に「こどもの日」には好きな本を自分で選ばせることにしました。20年経った今でも本棚に残っています。
私は今年60歳になりますが、今までに何度も読み返してきた本があります。1冊は夏目漱石の『坊ちゃん』。この本は人生で3度は楽しめる本だと思います。次は森鴎外の『舞姫』です。耐えがたきはエリスが愛!男子高校生に読んでほしい本です。女子高校生にはアンドレ・ジイドの『狭き門』。アメジストの首飾りと聞くだけで涙が出てきそうです。古典は『伊勢物語』です。
昔の男はすぐにヨヨと泣きました。ぜひ読んでください。
前文で「ことば」を多用しましたが、ことばをわかりやすくひとにつたえるには池上彰の『わかりやすく<伝える>技術』を読まれるとよいでしょう。本格的に読書に取り組まれる方には立花隆と佐藤優の『ぼくらの頭脳の鍛え方必読の教養書400冊』があります。すごい本のリストです。
本を読むことによってきっと人生が豊かになります。この本屋の新聞を読んでくださっているあなたと良い本との出会いがありますように心より願っています。 (須)