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電子書籍の時代は本当に来るのか

 にわかに出版業界を賑わす事件が勃発した2010年。言わずと知れたアップル社・iPadの日本上陸だ。ニュースはこぞって「電子書籍元年」と報道するが、実は過去にも何度かムーブメントは起こりかけた。

 では一体どうして広がりを見せずに今日に至ったのだろうか?読みやすい端末がなかったから?ソフト(電子書籍)のタイトルが少なかったから?それらはもちろん大きな理由だろう。しかし、そこにはもっと複雑な事情が横たわっている。

 特に日本の出版業界は、成り立ちや仕組みにおいて、アメリカとは大きな違いがある。その中でも再販制度の存在は一番大きいだろう。簡単に言えばつまり、日本全国どこで買っても本の価格は定価販売で同じということである。ところが、電子書籍のメリットは、コストがかからず低価格という点である(電子書籍は再販の適用外)。すなわち、一物二価が生じることになる。環境によって文化的な利益を享受することに不公平が生じることになる。

 アマゾン・アップル・グーグルなどの最新動向を詳らかに著しながら、書籍の未来を占う一冊。(加)