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11歳の狙撃手

『小太郎の左腕』 和田竜 小学館 ¥1,575

信長が今川義元を奇襲し(桶狭間の戦)、戦国時代が大きく動き出す数年前。各地では豪族が群雄割拠し、種子島に伝わった鉄砲は未だ合戦の脇役であった頃の物語。

隣接する戸沢・児玉両家では互いに勢力の拡大を図り、今や一触即発の状況に。戸沢家の猛将・林半右衛門は、ある日ふと見かけた子供に、鉄砲の才能を感じ取る。その子供・小太郎は、最強の鉄砲軍団「雑賀衆」に在って、天才的な素質を持つ撃ち手であった。だが、養父・要蔵は、優しき心根を持つ小太郎に人殺しをさせまいと、共に一族を捨て、山中に隠れ住んでいた。

収穫後毎年行なわれる鉄砲試合に、小太郎を引っ張り出す事に成功した半右衛門。彼は、[左構えの種子島]を手にした小太郎の腕前に戦慄を覚えながらも、狙撃手として合戦に連れ出そうと非情な罠をめぐらせる。

デビュー作「のぼうの城」で多くの読者を魅了。新たな時代小説ファンを生み出した和田竜の最新作。 (え)