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『天』を測って、『地』を統べる

『天地明察』 冲方丁 角川書店 ¥1,890

からん、ころん。

金王八幡に奉納された多くの絵馬が風に揺れる。それぞれに書かれた算術の問いと解法。それを目にした時、春海の人生は途方もない方向へと舵を切った。

幕府に囲碁で仕える碁打ち衆の嫡男に生まれながら、算術にのめり込む。老中・酒井に見込まれた春海は、密命を受け、天体の運行を計算・測量する羽目となる。

やがて、八百年も続く宣明暦の誤りを指摘し、新しく授時暦の採用を請願する事態へと繋がってゆく。だが、授時暦も大きな爆弾を抱えていた。改暦。それは、政治・権力・宗教・経済問題として、幕府・朝廷・神社仏閣をも巻き込む。

それぞれの思惑により、駆け引きが展開される中、春海は起死回生の秘策を打ち出し、朝廷を動かしてゆく。

改暦に関わる魅力的な人々。一途に仕事に打ち込む男達の熱い情熱が心に染みる、心地良い時代小説の誕生である。

スニーカー大賞・SF大賞を受賞。そして、ゲーム・アニメなど多彩な能力を発揮し、若者を魅了してきた冲方丁(うぶかたとう)が、新しい境地を開く。表紙の帯に、ビッシリと書かれた書店員たちの賛辞の数々。

読めば、納得。 (え)